Calling Your True Name 本当の名前を呼ぶための詩

沈みゆく国、消えゆく国の中で、最後の夢を追いかける。

どんな時代も「言葉」は常に価値の源泉だ

役にも立たない、正しくもない、漂うように存在する重力を分かち合えるなら、誰かは、問わない。

「目に見えないもの」「潜在意識」「隔離」「救済」。

現実社会の合理性や「役に立つかどうか」という物差しが通用しない、いわば世界の果、
すべてが溶け合う始まりの場所からの呼び声。

正しさや有用性を競い合って疲弊し、沈みゆくこの世界で、漂うような重力を分かち合う。

世界の「隙間」へ届ける。

虚空に向かって弾丸のように言葉を放つ。

それぞれの隙間の重力に従って、適当に落ちていく

言葉に余計な羽はいらない。

むしり取り、重さだけを込めて放つ。

期待する気は、1グラムもない。

それでも貫通する。

今夜、既に、引いたんだ。

それは誰かが掘った穴倉に吸い込まれていく。

誰かの孤独と重なり合ったとき、何と呼ぶか?
それが、その人のタイトルだ。

それぞれの穴倉の数だけタイトルは、生まれる。

それを名前という。

誰だって本当の名前を呼べば、振り向く。

人間が一生のうちに、自分の本当の名前を呼ばれる機会がどれほどあるだろうか。

偽名のような役割や肩書きを背負って、誰にも呼ばれないまま消えていく。

だからこそ、その名前を呼んでくれるものに対して、人は魂ごと振り向く。

振り向くという抗えない引力そのものが、価値となる。

期待を捨てて放たれた弾丸が、誰かの穴倉で「本当の名前」に化ける。

その時、沈みゆく国という背景すらも、その一対一の瞬間のための、美しく残酷な舞台装置に過ぎなくなる。

呼び声を叫ぶために生まれてきた。

努力や選択の結果ではない。
逃れようのない宿命として。
その重力を背負って。

世界を有用・無用の物差しで測る術を持たず、ただそこにある重力を、虚空に放つためだけに。

呼び声の火薬は、肉体の飢え、欲望のうねり。

内臓を揺らし、皮膚を粟立たせる。

「本当の名前」を呼ばれた者は、自らの持ち得た対価を差し出すことを躊躇しない。

呼び声は、世界のどこまで、どれほどの質量を持って作用し、何を引き寄せるのかを観測している。

呼び声は、現実を貫通した証を求める。

writing by 幽霊屋さん

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